2022.08.13

【CSRとは?】企業の社会的責任をわかりやすく解説

CSRとは?

CSRとは企業の社会的責任のことで、「Corporate Social Responsibility」の略語です。

CSRでは、企業は利益を追求するだけでなく、従業員や消費者、投資者といったステークホルダーや、環境などへの配慮や社会貢献にいたるまでの幅広い領域において、適切な対応を行う義務があると考えます。

各企業にはそれぞれ異なる責任、役割、影響力がありますが、企業が存続していく過程には必ず社会とのつながりがあります。

そのため、企業は社会のなかで自らの行動がどのような影響を及ぼすのかを考えて意思決定をし事業を存続していくかを意識していかなければならないのです。

CSRが必要とされる理由

欧米では古くから、企業存続には持続的な社会発展が欠かせないという考え方があります。

すなわち、社会があるからこそ企業が存続でき、企業はその社会を持続・発展させるための責任を担っているという理念です。

この欧米の考えを基礎として、企業も個人同様、社会の一員であり、社会ルールを守り、社会的責任を負い、社会と良好な関係を保ちながらビジネスを行うことが企業自身の長期的な成長・発展に繋がる、というのがCSRの考え方なのです。

それぞれの企業が社会的責任を果たすことで社会全体が発展していきます。

だからこそCSRが必要とされるのです。

 

サステナビリティ、SDGs、CSVとの違い

CSRとよく混同されがちな言葉に「サステナビリティ」、「SDGs」、「CSV」などがありますが、これらの間には違いがあります。

ここからは、これらの言葉との違いを解説します。

1.サステナビリティとの違い

まず「サステナビリティ」ですが、「サステナビリティ(sustainability)」とは、「持続可能性」を意味する言葉です。地球環境と人間社会が良好な関係を保ちながら共存し、発展し続けていこうとする考え方のことです。

サステナビリティとCSRは「よりよい社会を目指す」という意味で方向性は同じですが、サステナビリティは企業だけでなく、国や個人など社会全体が対象で、CSRはあくまでも企業の事業活動に限られます。

このように対象範囲は異なりますが、企業がCSRを意識した経営活動をすることで、結果的にサステナビリティの向上にもつながるのです。

2.SDGsとの違い

「SDGs」は貧困や気候変動など世界が直面する課題解決のため、2015年に国連総会で採択された、17の「持続可能な開発目標」のことです。

「SDGs」は「サステナビリティ」と同様、持続可能な社会を目指しているものですが、「SDGs」は2030年が期限の目標であるのに対し、サステナビリティは期限を設けていない長期的なものです。

「SDGs」も社会全体が対象の目標で、その点で、一つ一つの企業が対象の「CSR」と異なります。

3.CSVとの違い

最後に「CSV」ですが、これはCreating Shared Valueの略語で、「共有価値の創造」と訳されます。

企業の事業活動の中で社会的な課題を解決することで、社会価値と企業価値を両立させようとするのが基本的な考え方です。

「CSR」は社会貢献の意味合いが強く、事業活動とは無関係の奉仕活動なども含まれますが、CSVは企業戦略の一環として社会への貢献活動を行うため、活動内容は事業と関係があるものになります。

ISO26000とは?

ISO26000は、ISO(国際標準化機構)が2010年11月1日に発行した、組織の社会的責任に関する国際規格です。

ISO26000が生まれた当時、CSRの重要性が世界中で高まり、多種多様な行動規範やガイドラインが次々と作られていくなか、国際的な統一基準が求められるようになりました。

そこでISOがCSR規格の開発に着手し、検討と議論を重ねた結果、あらゆる組織に向けて開発された社会的責任に関するガイダンス文書を完成させました。

これがISO26000なのです。

したがって、ISO26000は企業がCSRに取り組むときの参考書であると言えます。

企業が実施するCSRのメリット

CSRを行う最大のメリットは企業イメージや企業価値の向上です。

CSR活動への取り組みを公表することで、消費者や投資家などの外部の第三者に良いイメージを与えます。

消費者が良いイメージを持つことにより、自社の商品やサービスの売り上げが伸びたり、投資家からの評価が高まり、積極的な出資を得られたりするなど、結果的に企業価値の向上につながることが期待できます。

実際に、東京商工会議所のCSRに関するアンケート調査の結果、中小企業の55.7%が、大企業の63.3%が、CSRに取り組む目的や理由として「企業イメージの向上」と答えています。

そして、実際にCSR活動を行う中小企業の79.7%、大企業の98.3%がそのメリットとして、「企業イメージの向上」を挙げているのです。

この事実からもCSR活動が企業イメージや企業価値の向上に直結することが理解できます。

 

また、企業イメージ・企業価値の向上により、取引先や株主との良好な関係性につながります。

顧客や取引先、株主などのステークホルダーからの信頼を得られれば、それだけビジネスを円滑に進められるため、業績に間接的に影響を与えるはずです。

 

CSRによって企業イメージが向上すると、優秀な人材の獲得や社員満足度の向上も見込めます。

CSR活動に取り組んでいる企業では、働いている社員も周囲から良いイメージを持ってもらいやすく、社員自身も社会的に意義のある事業に携わっていると自覚しやすいため、社員の会社に対する満足度が高まりやすくなります。

社員の満足度が高まれば、企業は「離職率の低下」「生産性の向上」といったメリットが得られます。

また、新卒の大学生や求職中の社会人にも良い印象を持ってもらえるため、優秀な人材が集まりやすくなる効果も期待できます。

企業が実施するCSRのデメリット

CSRのデメリットとしてまずあげられるのはコストの増加です。

東京商工会議所のアンケートでは、中小企業の73.8%、大企業の81.1%がCSR活動のデメリットとして「コストの増加」と回答しています。

CSR活動は直接的に利益や売上に貢献するわけではなく、本業とは関係のない事業にお金をかけることになるため、短期的にはコストが増えてしまいます。

例えば、環境保護の活動を行えばそこにかかるコストが上乗せされる一方で、収益は入ってこないため利益は減少してしまいます。

ただし、長期的には前述したようなメリットを享受できるため、CSR活動は一時的な利益の減少を理解したうえで、長期的な視野で行うことが必要になります。

 

このように、CSR活動を行うと短期的にはコストが増加し、利益が減少する可能性が高い。

業績が良く資産に余裕がある企業であれば短期的な損失に耐えられるでしょうが、設立間もない、利益も資産も乏しい企業や業績が悪い企業の場合、短期的なコストの増加は致命的になります。

したがって、CSRに取り組む際には資金的な余裕があるかどうかをあらかじめ慎重に検討しなくてはなりません。

 

また、CSRにより人材不足に陥る可能性があるというデメリットも存在します。

東京商工会議所のアンケートでは、中小企業の51.8%と大企業の48.6%がCSRのデメリットとして「人手の不足」を挙げており、先程の「コストの増加」の次に多い結果となっています。

CSR活動への取り組みには人手が不可欠であるため、その分だけ本業に投入できる人手が減ってしまいます。

人材の数に余裕がない企業の場合は、人材不足から本業が疎かになりかねません。

長期的に見ればメリットの多いCSRですが、長期的に取り組める体力のない企業にとっては難しい判断になります。

企業が取り組むCSR活動の実例

実際に企業がCSRに取り組んでいる例として、KDDI、富士フィルムホールディングス事例を紹介します。

 

KDDIは「豊かなコミュニケーション社会の発展に貢献する」という企業理念のもと、「安全で強靭な情報通信社会の構築」「エネルギー効率の向上と資源循環の達成」など6つの重要課題を定めています。

2019年2月よりサステナビリティ委員会を再編成し、サステナビリティ推進の達成度を担当役員ならびに全社員の賞与に連動させる仕組みを作っています。

具体的な取組としては、大規模災害時用の公衆無線LANや車1台に基地局の機能を搭載した「車載型基地局」の活用など本業と関連性の高いものに加え、高齢化や後継者不足など農業における課題解決に向けて岐阜県飛騨市で「スマート農業」を2019年から実施したり、東北被災地をつなぐ継続的な復興支援としてタブレット体験教室によるコミュニティづくり支援を行っています。

 

富士フィルムホールディングスでは、創業の原点ともいえる写真フィルムの製造に不可欠な「大量の清浄な水と空気」を大切にするために、環境保全を中心にCSRに取り組んでいます。

2030 年度までにグループによるCO2 排出を 30%削減(2013 年度比)という重点課題を、2019 年度に達成。

健康分野では、メディカルシステム事業の医療AI技術を活用した製品・サービスを世界中に提供することで医療アクセスの向上という社会課題の解決に貢献する目標を掲げています。

CSRはボランティア活動ではない

誤解されがちですが、CSR活動は、企業が利害に関係無く行っているボランティア活動ではありません。

企業がCSR活動を行う大きな目的は「企業価値の向上」であり、活動を通して企業をブランディングし、ステークホルダーへの企業イメージの向上を図り、未来の顧客の獲得を目指すものです。

また、社会問題に関心を持つことで、自社にとって未知の社会問題に対してリスクヘッジが可能になります。

 

環境活動や地域社会への貢献といったCSR活動は、短期的に見ると利益に結びつきづらいことも事実です。

しかし、CSR活動に継続的に取り組んでいくことで、長期的に見ると企業にとって多くのメリットを与えることになるのです。

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